音楽療法士は、介護や福祉、医療の現場で活躍する職業です。
福祉や医療業界以外の方にとっては、あまり聞きなじみのない職業ではないでしょうか?
先進国では国家資格化されている国もありますが、日本では現在民間資格であり、まだまだ知名度が低いです。
音楽療法士の活躍の場は幅広く、幼児、児童、障害をお持ちの方、認知症の高齢者まで、需要は増え続けています。
音楽を通して人を癒したい、と考えている方は、音楽療法士の道を目指してみるのはいかがでしょうか。
音楽療法士の年収は?働き方から解説!

音楽療法士の役割
音楽療法士は音楽を通して心の回復や向上を図る専門職です。
音楽療法士は幼い幼児や、心身に障がいをお持ちの方や高齢者に対して、リハビリテーションやカウンセリングをする仕事です。
災害や事故で心に大きなショックを受けた方に対して、心理的なストレスを緩和する効果もあるとされています。
音楽療法のやり方には、音楽を聴くことによって効果をもたらす「受動的音楽療法」と、
利用者と音楽療法士が一緒に歌を歌ったり、演奏したりする「能動的音楽療法」があります。
ただ音楽を聞くだけではなく、一緒に音楽を楽しんで、コミュニケーションをとる事によって生産活動が向上し、認知症の高齢者に驚くほどの効果が現れたりします。
音楽療法士は、専門的な知識を習得し、音楽を用いてそれぞれの方に最適な治療を施していきます。
就職先は?
介護施設や病院、教育機関などが主な就職先です。
音楽療法士はまだ一般的に浸透していないため、看護師や介護福祉士、機能訓練士が自身の音楽スキルを使って兼務していることも多いです。
音楽療法士の資格のみでの就職は、まだまだ募集自体が少ないのが現状です。
しかし音楽療法士の資格は民間資格のため取得の難易度はさほど高くなく、日本でも音楽療法の効果が認められつつあるので、非常勤や派遣の求人は徐々に増えつつあります。
福祉、医療関係の資格をすでに持っている方にとっては仕事の幅を広げるために資格を取得するケースが多いです。
音楽療法士は治療の性質上、作業療法士や理学療法士などの国家資格のリハビリ職と併せ持つのが特に効果的といえます。今後活躍の場が広がっていくでしょう。
音楽療法士の年収
音楽療法士の専業として給与をもらうのは難しく、勤務先も多岐にわたるため音楽療法士だけの給料というのは示しづらいです。
現状は兼業が多いので、あくまで平均ではありますが、年収は平均300万円、月に換算すると20万円ほどです。
初任給は約15~16万円程度が相場です。
音楽療法士になるには
日本で音楽療法士になるためには、各団体が認定している民間の認定資格を取得するのが一般的です。
代表的なのが日本音楽療法学会の「学会認定音楽療法士」です。
「学会認定音楽療法士」取得の方法は以下の2つです。
- 日本音楽療法学会認定の音楽系の大学や専門学校を卒業する方法
- 日本音楽療法学会の正会員になるなどの「いくつかの条件(※)」を満たし、資格取得のための制度に参加する方法
※資格受験に必要な条件
1)必修講習会を修了する。
(参考:日本音楽療法学会『Music therapist 音楽療法士』https://www.jmta.jp/music_therapist/become.html)
2)音楽療法関連分野(医学・心理学・福祉・教育)18単位を取得する。
3)臨床経験5年以上(音楽を使用した臨床経験2年を含む)を有する。
4)学会参加、研究発表、スーパービジョンの受講など、200ポイントを取得する。
学校を卒業するまでに最低2年かかり、(2)の学会制度を利用する場合は5年以上の臨床試験が必要とされます。
この上試験に合格をしなければいけないので、趣味感覚で気軽に取れるような資格ではありません。
試験自体は、授業をしっかり受講し真剣に勉強していれば、どなたにも合格するチャンスがあります。
音楽が好きな方にはぴったりの職業

現在は民間資格のみの音楽療法士ですが、活躍の場は広く、需要は高まってきています。
日本も先進国にならい、音楽療法士がいずれ国家資格となった暁には、知名度が高まり就職の条件も良くなっていくことでしょう。
音楽療法士は音楽が好きな方にとって、音楽をただ楽しむだけではなく音楽を用いて人を癒すことが出来る魅力的な職業です。
この記事が、人の役に立ち社会に必要とされている音楽療法士について、興味を持つきっかけになってもらえてれば嬉しいです。