今、日本にある2300以上の「福祉、教育、医療」の現場で導入されている治療法があります。
それが「音楽療法」です。
音楽療法の歴史は古く、古代のギリシャ・ローマ時代にまで遡ることができます。
そして、20世紀のアメリカで発展し、全世界へと広まっていきました。
日本では、1960年代から伝わってきたとされています。
今回の記事では、そんな歴史が深い音楽療法をどうして取り入れるのか、その目的と実践方法について紹介していきます。
音楽療法を取り入れる目的と方法ってなに?

音楽療法とは一体なんなのか
音楽療法とはその名の通り、音楽を使って行われる治療法のことです。
音楽を「聴く、歌う、演奏する」等を通して、人間の生理的・社会的側面に働きかけ、より良い効果を生みだすことを期待して行われます。
音楽療法を取り入れる目的①:心身を落ち着かせることができるから
音楽には心身を落ち着かせる力があります。
その理由は以下3つの通りです。
- 音楽には「ゆらぎ」を含んでいるから。
- 音楽には「自律神経」を安定させる力があるから。
- 音楽には「しあわせホルモン」を分泌させるから。
(1)ゆらぎについて
①のゆらぎとは何なのでしょうか。
それは「規則的な音の流れの中に存在する不規則な音の流れ」のことを指します。
ゆらぎは、人間の生活に影響を及ぼす「生体リズム」にも含まれているのです。
この2つが共鳴し合うことで、人間は癒しの効果を認識します。
人間の脳波に影響を与え、筋肉の緊張をリラックス状態に導く働きをするのです。
(2)自律神経について
②の自律神経とはどんな役割をするのでしょうか。
自律神経は2つあります。
活動しているときに活発になる「交感神経」と休んでいるときに働く「副交感神経」で成り立っているのです。
この2つの神経の働きのバランスが崩れてしまうと、不調をきたしてしまいます。
音楽は自律神経のバランスを整え、リラックス効果を発生させるのです。
そして、様々な病気や症状にかかるリスクを下げることにも繋がっていきます。
(3)しあわせホルモンについて
③のしあわせホルモンとはなんなのでしょうか。
それは「セロトニン」や「エンドルフィン」と「オキシトシン」を指します。
セロトニンは「精神の安定」をもたらし、エンドルフィンは「痛み」を鎮めます。
オキシトシンは「ストレス反応」を抑える働きがあるのです。
心身の安定を実現するための方法②:音楽を聴く
心身の安定を実現するために1番最適な方法は、音楽を聴くことです。
音楽を聴くことによって脳へと働きかけ、上記で挙げたようなリラックス効果をもたらすことができます。
また曲を選ぶ際には2つの基準があるのです。
音楽を選ぶ基準(1):自然界の音、クラシック音楽
1つ目は「自然界の音」や「クラシック音楽」です。
この2つの音楽には、先程述べた癒しの効果をもたらすゆらぎを多く含んでいます。
特にクラシック音楽の中でもおすすめなのがマルコ二・ユニオン作曲の「ウェイトレス」です。
ウェイトレスは、イギリスの音楽療法学会によって認められた「世界で最も癒し効果がある」とされているクラシック音楽になります。
音楽を選ぶ基準(2):お気に入りの曲、自分が全く知らない曲
2つ目は自分が知っているお気に入りの曲を聴くことです。
これをすることで得られるメリットは脳の「記憶」機能と「再生」機能を活発化させることにあります。
歌詞の内容を思い出し、それを脳内で再生することで「認識能力」を鍛えることができるのです。
また、知っている曲だからこそ、どのタイミングでクライマックスに差し掛かるのかを予感できるので、知らない曲に比べると、気分が高揚し、より一層の癒しの効果が期待されます。
また、上記に当てはまらない「自分が全く知らない曲」であったとしても望める効果はあります。
知らない曲の中身を知り、覚えようと努力することも脳の記憶機能に働きかけることになるのです。
そして、いずれ歌うときに備えて「行為・遂行」機能も活発化すると言われております。
聴く音楽療法は、手軽にできる

音楽療法を取り入れる目的と方法について、今回は聴く側面に集中して解説しました。
聴く側面に絞った理由は、歌う、演奏することに比べると、手軽に実践できると考えたからです。
今回の記事で音楽療法の目的と方法が分かったでしょう。
次は、是非とも実践し、音楽療法の効果を体感していただきたく思います。