音楽療法とは一口でいえば音楽による心理療法といえるが、欧米ではすでに臨床心理療法として確立され、音楽のもつ機能性を活用し病気の治療に用いる方法として定着しているのが現状といえます。
そこで複数回に渡って音楽療法について正しい理解を深めるために、今回は神経症の音楽療法を4つ紹介します。
神経症の音楽療法4選/医療の場からみた音楽療法

ドイツでは神経症領域での音楽療法がさかんです。
Schwabe. Ch.によると神経症領域における音楽の作用として以下のことをあげています。
- 音楽による感情の活性化
- 対人交校章害の除去
- 自律神経失調の改善
- 生活体験域の拡大
ここでSchwabe.Ch.の体系的音楽療法にもとづいた神経症の治療システムについてふれてみましょう。
その種類として交流的音楽療法、反応的音楽療法、調整的音楽療法、集団歌唱療法があげられます。
(1)交流的音楽療法/Schwabe.Ch.の体系的音楽療法
患者―治療者間の信頼関係を深め、治療者との間に自由な解放された感情の交流をえる目的で行われる音楽療法として位置づけされます。
交流的音楽療法は治療初期の段階で用い、主として感情表現の抑制された症例に適用されます。
今日でもかかる神経症ないしは心身症を例において応用させて良いものと思われます。
使用曲目は患者に自由にえらばせてよいが、Schwabe. Ch. は経験上ベートーヴェンのヘ長調のロマンス、メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲 第2・3楽章、スメタナのモルダウなどを賞用とします。
音楽を聴く時間は10分間、6~7回で次のセクションへすすみます。
(2)反応的音楽療法/Schwabe.Ch.の体系的音楽療法
より深い深層レベルに介入が必要になった場合に、音楽の強い感情誘発作用を利用して心因のほりおこしを行います。
しかしながら、反応的音楽療法はあらゆる治療時期に利用されてよいです。
使用曲目は感情誘発性の強い交響的作品がえらばれる。 選曲は必ず治療者が行います。
たとえばベートーヴェン「運命」の第1楽章、シューベルトの未完成交響曲の第1、2楽章、チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1楽章などがえらばれます。
仰臥位で10分間の音楽を聴かせたあと自由連想に移り、7~8回行います。
(3)調整的音楽療法/Schwabe.Ch.の体系的音楽療法
調整的音楽療法はSchwabe. Ch. が創始したもっとも独創的な音楽療法といえます。
これは神経症を心身のあやまった緊張と病状へのとらわれと考え、先ず、10分間の特別な音楽聴訓練を行って、緊張緩和と物事をあるがままに受け入れる態度を習得させます。
実施は7~8人のグループで行い第1期~第4期に分けられ、各時期の使用音楽は第1期がモーツァルトを主体としたピアノまたはヴァイオリン協奏曲の第2楽章、第2期はロマン派などを含めた交響曲の第1楽章、第3期は現代にいたる広い範囲のクラシック音楽、第4期は現実生活の中の音響がえらばれます。
10分間の音楽聴取では緊張緩和の下で注意を音楽、身体、概念へと向けることを課せられます。
終了後は課題遂行の出来不出来、反省点などを参加者の間で話しあうのが特徴とされ、通常週2回、3カ月をもって治療スケジュールを終了します。
(4)集団歌唱療法/Schwabe.Ch.の体系的音楽療法
これは音楽を聴くのではなくコーラスを重視するもので、その際集団即興もとり入れた音楽療法です。
そこでは対人交流の育成、身体的緊張と恥緊張の体験が強調されます。
他症状への音楽療法アプローチ

いかがだったでしょうか。
今回は、神経症の体系だった音楽療法を紹介しましたが、他の記事でも別の症状についても解説していますので、ぜひご覧くださいませ。
最後までご覧いただきありがとうございます。