音楽療法が学べる学校

障害を持つお子様への「音楽療法」注意すべき3つのポイントとは

音楽療法と聞くと、どうもかたっくるしい連想をしてしまいます。
「それだったら自分たちで音楽を流して子どもに変化があるのなら、うちで好きなだけ音楽きかせればいい」そう考えたことがありませんか?
今回は、自己流・音楽療法の注意すべきポイントを3つご紹介します。

音楽療法の注意すべき点①:自己流で行わない

音楽療法と聞いて「音楽に合わせてリズムを取ったり楽しんでくれたらいい」と思ったかたは、ちょっと待って下さい。
子どものために良かれと思って自己流で音楽を流して、例えそれを子どもが喜んだとしても、それだけなら「レクリエーション」止まりです。
音楽療法とは、「音楽のもつ生理的、心理的、社会的働きを用いて、心身の障害の軽減回復、機能の維持改善、生活の質の向上、問題となる行動の変容などに向けて、音楽を意図的、計画的に使用すること」(日本音楽療法学会)と定義されています。
専門の音楽療法士が対象の子どもたち、ひとりひとりのコンディションや症状などを元に、席順を決めて行います。
タンバリンなどの楽器も、自発的に鳴らす子や、全く興味をひかない子もいます。
ですが、各々の「課題」をゆっくりでもクリアして充足感や積極性を得られれば、それらをきっかけに協調性や社会性が芽生えてゆく…。それほど緻密かつ繊細な「セラピー」なのです。

音楽療法の注意スべき点②:気に入らなくなったら早々に切り上げる

親の気持ちとして「音楽を聴くことで症状が改善方向に向かってくれれば」と思って音楽を子どもに聴かせていませんか。
ちょっと待って下さい。
精神・知的障害を持ったお子さんは、興味の対象がコロコロと変わりがちです。
良い音楽をかけていたとしても、お子さんの興味が別のところに移ってしまったら、興味のない音楽はただの雑音になってしまいます。
集中力を持って、我慢強くなって、などなど思うところはあるでしょう。
ですが、それをお子さんに求めてしまうのはなかなか酷な話です。
音楽療法士だったら子どもたちが飽きることなく音楽を楽しめるようにプログラムを組みながら音楽療法を進めてゆくのですが。
お子さんが音楽に対する興味の糸が切れてしまったら、早々に音楽を止めてしまうのが正解です。

音楽療法の注意スべき点③:自分の好みの音楽を押し付けない

音楽療法士は、子どもたちが楽しむだけではなく、その中で自分や他人と協調性などを育めるように入念にセットリストを組んでゆきます
ですが、親はどうしても自分たちが知っている音楽の中からチョイスしてしまうため、それを聴いたお子さんがどのように成長してゆくのか、といった視点がなくなってしまいがちです。
百歩譲って自分のフェイバリットソングをかけたとしても、その曲をお子さんに何度も何度も聞かせるのは、何らかの罰です。
せめて、お子さんが楽しんでくれる選曲をしてあげてください。

音楽療法士にお願いするのが手っ取り早い

音楽療法の奥深さがわかっていただけたでしょうか。
「音楽療法は、音楽療法士が行うセラピー」なので、お父さんお母さんはセラピーではなくレクリエーションとして音楽を楽しもう、といったぐらいで留めておくのがいいでしょう。
なにせ相手はプロですから。
子どもの成長や変化を、目の当たりにする日が来ることを楽しみにしていましょう。