音楽療法のHow To

音楽が気分を変える?|音楽の心理的作用を理解する!

音楽の心理的作用は、音楽が古来「魂の薬」として用いられた長い歴史と、音楽の持つ摩訶不思議な能力とに関わっています。

今回は音楽による気分の転導について解説し、より音楽療法の理解をしてもらおうと思いますので、最後まで御覧ください!

音楽による気分の転導|音楽の心理的作用を理解する!

なぜ音楽が人の気分に影響するのか、その理由はこれまで多くの学者によって検討されています。

音楽による気分の転導

その1つは、テイラー(I. A. Taylor)とパパート(F.Paperte)の考えで、音楽の構造の力動が、感情の力動に合致するために、音楽は人の感情を動かすのだという考えです。

音楽が感情の流れを引き起こす

音楽は音の流れとして進行します。

その流れは様々な変化を呈しながら動いていきます。速くなったり遅くなったり、強くなったり弱くなったり、高くなったり低くなったり、駆け出したり止まったり、また朗々と鳴り響いたりか細く消え入りそうになったり、その様々な音の流れの変化は1つの力動として表され、それは感情の力動と類似していることが考えられます。

そのことが音楽が感情の流れを引き起こす原因です。

音楽は特定の感情を表現できるか?

ですから以前から論議されてきた、音楽が何を表現するのかという音楽美学上の大議論、中でも、音楽が特定の感情を表現することが出来るのかどうかという感情表現に関する論議は、音楽療法の観点からは次のように述べることが出来るのではないでしょうか。

すなわち、音楽は特定の感情を表現するのではなく、音の動きの力動に類似する、その時のその人の様々な感情を引き出していくのです。

例えばある人にとってはそれは崇高な感じであるかも知れませんが、他の人には宗教的であると感じられるかも知れません。

同質の原理

そういう感情に人間を引きずり込んでいく能力が、音楽による気分の転導です。

気分の転導はまた、「同質の原理」によって説明される場合もあります。

音楽療法で強調される「同質の原理」は、音楽セッションの始まりでは聴き手の感情と音楽の感情との一致が求められます。

音楽が聴き手の感情と一致しているとき、人はその音楽を快く聴くことが出来、その結果、聴き手は音楽に引き込まれていきます

自然にその気分に同化する音楽

しかし同時に、音楽は必ずしも同じ気分だけを持つものとは限りません

音楽の中には他の気分も存在し、聴いているうちに自然にその気分に同化します

また音楽の気分は、伴奏の仕方やテンポの取り方で人為的に変えることが出来ます。

そのような、音楽の自然な成行き、あるいは人為的な操作による聴き手の気分の漸次変化が、音楽療法の中で有効に利用されます。

とりわけ同質音楽から入って次第に異質の音楽へと移行する治療的操作は、精神病院の音楽療法の基本的なプログラム作成原理になっています。

音楽は人間の感情を転導させる

いかがだったでしょうか。

音楽によって気分が変わる、だからこそ音楽療法は効果的だと言えますね。

音楽と感情の関係については、他の記事でも紹介しますので、ぜひご覧ください。

最後までご覧いただきありがとうございます。