音楽療法とは一口でいえば音楽による心理療法といえるが、欧米ではすでに臨床心理療法として確立され、音楽のもつ機能性を活用し病気の治療に用いる方法として定着しているのが現状といえます。
そこで複数回に渡って音楽療法について正しい理解を深めるために、今回は生命の質と音楽療法について紹介します。
音楽療法が生命の質をたかめる?│治療法としての音楽療法を理解する

医療の現場においてターミナル・ケアも最近問題となっているが、その際音楽療法も導入されてよいものと思われいます。
音楽療法には疼痛を緩和したり、ストレスをやわらげ、楽しい思い出をよみがえらせ人間的な対話やコミュニケーションを円滑にするなど、末期患者のquality of life (QOL)を改善する可能性があり、ホスピスをふくめ経末医療の中で諸外国でとり入れられつつあります。
ホスピスでの音楽療法の効用
ホスピスでの音楽療法の効用として以下のことがあげられます。
- ペイン・コントロール
- 死に直面している患者の不安、緊張、恐怖をやわらげる
- 昔の楽しい思い出をよみがえらせ、闘病生活にあたたかい灯をとるす役割
- これまで歩んできた人生の見直しと再評価
- 対話とコミュニケーションの糸口
- 精神的動揺をのりこえる助け
- 永遠性への希望をあたえる
- 喪失の苦しみをいやす役割
また音楽は時間を超越しているので、人間に根源的な希望を与えてくれる面があります。
さらにすすんで末期患者のみならず、末期患者の家族や遺族などの心をいやすための音楽療法も検討されてよいものと思われます。
眠誘導と音楽療法
この中で眠誘導について述べると、不症で悩んでいるケース、あるいは睡眠薬を長時間服用していて薬物依存傾向がみとめられたり、睡眠薬から脱脚したいというケースなどに鑑賞療法としての音楽療法が用いられることがあります。
この際はゆっくりしたテンポで小さい音量、やわらかで暗い音色、小さい音程でシンコペーションのない規則正しいリズムの音楽が選曲されます。
音楽健康法、音楽レクリエイション
治療法としての音楽療法は、いずれも学問として成立した治療法で患者に音楽を処方する専門家(music the-rapist)の下でなされるものです。
わが国では音楽療法士の制度化が未だなされていないのが現状で、今後の発展が期待されるところであるが、少くとも音楽を処方するには医学、心理学、音楽教育の専門的な知識と訓練を受けておくことが必要です。
そのうえではじめて音楽療法が実践されるといえ、音楽療法と音楽を利用した健康づくりや音楽レクリエイションとは決して同列のものではない。
最近マスコミにおいてこれらが混同して使用されている傾向がみられるが、音楽健康法や音楽レクリエイションは音楽療法と異なるものです。
それは音楽健康法は単に音楽をきいたり、楽器を演奏したりすることによって、病人でない人が気分の転換をはかったり、リフレッシュ効果をあげたり、ストレスの解消や緩和に役立てたり、感性や感情などを刺激して心の活性化をはかるものであるといえます。
また音楽レクリエイションも音楽を通して仲間と交流したり、楽しい時間をすごすことであって、いずれも不特定多数の人々に活用されています。
音楽療法は病者個人の治療としての意義が重要で、それぞれ個人に見合った音楽処方が診断的アプローチの中で選択され、心理療法の一つとして実践されているものです。
今後音楽の活用はストレス社会を反映してますますさかんとなるものと思われますが、わが国の医療の場において心身医学を主体とした音楽療法が着実に根をおろし発展することを期待したいです。
音楽でQOLを高める可能性もある

いかがだったたでしょうか。
音楽と生命の質は密接な関係がありますね。
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