「音楽療法」とは、音楽の持つ力を使って、人間の心と身体を癒すことを目的として行われる治療法です。その用途は「健康の維持」や「心身の障がいの機能回復」等、多岐にわたります。
正直、日本では音楽療法はまだまだ普及してませんが、海外では盛んに行われています。アメリカでは終末医療の場として導入されていたり、ヨーロッパでは大規模な研究発表の場が開かれているのです。
それだけ音楽が持つ力は凄いということなのです。
今回の記事では、音楽療法の秘密を解き明かした上で、人間にどんな効果をもたらすのかを記しました。
音楽療法にはどんな効果があるの?実証されているその効果とは!

音楽を聴けば心身がリラックスする
音楽には、心身をリラックスさせる効果が備わっています。
ただ音楽を聴くだけでも、人間が得られる効果は大きいのです。何故なら、音楽は人間の身体や心に働きかけることで、ストレスや不安を軽減させる効果があるからです。
では、音楽がこのような効果をもたらす理由は何なのでしょうか。
そのヒントは「ゆらぎ」にあります。
そもそも音楽とは一定のルールのもとで、規則正しくメロディーを奏でます。しかし、決められたメロディーの中には不規則に動いている部分が存在します。それがゆらぎです。
そして、人間が持つ「生体リズム」もゆらぎを含んでいます。
音楽のゆらぎと人間のゆらぎが共鳴することによって、人は心地よさを感じます。
また、ゆらぎには人間の自律神経を安定させ、身体を元気にさせる作用も含んでいるのです。
更に「心地よい=好ましい」という印象は感情を作り出す「扁桃体」にも影響を及ぼします。それが結果として、表情や感情表現の豊かさに繋がるとも言われています。
このようにリラックス効果は癒しだけではなく、情緒の面においても影響を与えることが立証されているのです。
音楽を聴けば脳が活性化する
音楽を聴く行為は癒しだけではなく、脳そのものを活性化させる効果もあります。
まず、音楽が耳に入ってくると「知覚機能」が刺激されるのです。
知覚機能が刺激されると、五感(視覚・嗅覚・聴覚・味覚・触覚)に好影響を及ぼします。
五感が刺激されると、外から入ってきた情報処理の早さが増し、命を脅かす危険をいち早く察知することができるようになるのです。それに伴い、危険に対処するための「運動感覚」や身体の動きを司る「平衡感覚」も強くさせます。
また、自分が知っている曲を聴いたら「認知機能」が活性化します。
認知機能は「記憶、思考、理解、計算、学習、言語、判断」を司っており日常・社会生活を送るにあたって重要となる機能です。
ここの部分が弱まってくると「認知症」を発症させやすくなります。
また、知らない曲であったとしてもそれを自分の記憶の中に落とし込む「記憶機能」やその記憶に基づいた上で歌おうとする「行為・遂行機能」の分野も発達させます。
行為・遂行機能が弱まると、物事を順序立てて実行することが難しくなります。そして、最終的には仕事や家事にも支障をきたすようになるのです。
歌を歌うことで身体に影響を与える
歌を歌うことで身体に好影響を与えます。
理由は以下の通りです。
歌を歌うと自然と口が動きます。まだ言葉を発することが苦手な幼い子ども達にとっては「発声・発語」の機能を促すきっかけになります。
また、普段から言葉を発するのが苦手な人達にも有効です。身体は使わないと、どんどん衰えていきます。口の場合、会話をしていない期間が長いと、咄嗟に言葉が出なくなってしまうのです。
これは日常生活の場で少なからず支障をきたします。
でも、歌は望む、望まないに関わらず、声を出して歌います。しかも、歌うことで自分のことを批判したりする人がいない分、ハードルは低いです。
発声・発語を促すことはコミュニケーションの場においても好影響となります。
このことから、歌を歌うことは身体、特に言語表現を司る口に影響を及ぼしているのです。
音楽は人間の心と身体、脳に影響を及ぼす

この記事では「聴く・歌う」2つの側面から音楽療法の効果について解説しました。
音楽が人間の心と身体、脳に影響を及ぼしていることが分かったと思います。
音楽療法の効果を理解し、適切に実践していきましょう。