音楽療法のHow To

一日10分の音楽療法で自然に身につく、心の安定 

「音楽療法」とは、音楽活動を通して、心に安定をもたらす取り組みのことを指します。

人間の生理的、心理的側面に呼びかけることで、リラックス効果をもたらすのです。

今回の記事では1日10分の音楽療法(ここでは音楽鑑賞と定義する)で、どうして心の安定を得ることができるのかを紹介していきます。

一日10分の音楽療法で自然に身につく、心の安定 

音楽療法が心に安定をもたらす理由①自律神経が整うから

音楽を聴くことで「自律神経」が整います。自律神経とは「交感神経」と「副交感神経」によって成り立っています。
交感神経は「心と身体を活動状態にする」もので、逆に、副交感神経は「心と身体を休息・安静状態にする」力があります。

この2つの神経はどちらか一方が際立っていても駄目で、身体を壊すきっかけになってしまいます。

しかし、音楽はこの2つの神経のバランスを整え、リラックスさせる効果があります。
その秘密は音楽に含まれている「ゆらぎ」にあります。

ゆらぎとは規則正しい音楽のリズムに含まれている不規則な部分を指す言葉です。
ゆらぎは音楽だけではなく、人間の生まれながらに持つ「生体リズム」にも含まれています。
この2つが共鳴しあうことで人々は心地よさを実感することができるのです。

また、自律神経のパランスを整え、働きを促進させることで、ストレスをうまく処理できるようにもなります

更には、心拍数、血圧、血中の酸素量が安定するため、感情を落ち着かせることもできるのです。

音楽療法が心に安定をもたらす理由②エンドルフィンの量が増えるため

エンドルフィンとは「自然の鎮痛剤」と呼ばれている脳内物質のことです。
音楽は人間のエンドルフィンを分泌・増大させる働きがあります。

エンドルフィンは「モルヒネ」の6~7倍の癒し効果があると言われており、「多幸感」を抱かせるようにできているのです。

特に音楽が盛り上がる「サビ」や「クライマックス」の部分に差し掛かると、その場面を聴き手が予想・想像し、気持ちが高まることで、より多くのエンドルフィンが分泌されると言われています。

音楽療法が心に安定をもたらす理由③痛覚が消失されるから

人は自分では処理しきれないストレスを抱えると、身体に不調を抱えてしまう生き物です。
それは目に見える形で現れたり、目に見えない形で現れたりと、人それぞれです。

音楽は痛みそのものを消すことはできませんが、その痛みを遮断する力があります。

なぜ、そんなことが可能になるのでしょうか。
それは痛みを感じる構造にあります。
痛みを感じている状態は交感神経が極端に緊張している状態に陥っているのです。

前述の通り、音楽は自律神経のバランスを整える働きがあります。
そして、結果として、交感神経の緊張状態を取り払い、痛みを遮断する「聴覚性痛覚消失」と呼ばれている状態になるのです。

この状態は、音楽に没頭し、理解が深まるほど効果があると言われています。
だからこそ、繰り返し音楽を聴くことで、よりはっきりとした効果が見込める形になると言われています。

心の安定をもたらすためにおススメな音楽

これまでは、音楽療法がどうして、心の安定をもたらすのかについて見ていきました。
ここでは、どんな音楽が音楽療法に適しているのかを紹介します

  • クラシック音楽感情や情緒を落ち着かせるゆらぎを多く含んでいるからおススメです。特に眠れない時には、是非聴いて欲しいです。特にクラシックの中でも、マルコ二・ユニオン作曲の「ウェイトレス」には高い癒し効果があるとされております。
  • 自然の音⇒特に「川のせせらぎ」や「鳥のさえずり」等がおススメです。自然の音はクラシック音楽と同じくらい、ゆらぎの音を多く含んでいるからです。
  • 自分の好きな音楽⇒聴き込んだ音楽なら、どこからがサビなのか、クライマックスなのかを察知することができます。よって、このことから聴覚性痛覚消失のより深い効果を望めることが期待されているのです。

一日10分の音楽療法で十分な理由

どうして、一日10分間なのでしょうか。その理由は人間の集中力と関係しています。

人間が物事に集中していられる時間は子どもでも長くて「45分間」が限界なのです。

そして、45分間の中で最も深く集中していられる時間は、10分から15分だと言われています。

音楽療法による深い効果を得るためには、長々と音楽を垂れ流して聴くのではなく、最も集中していられる時間をちゃんと見極めた上で、鑑賞する方が効果的だと分かったからこそ、一日に10分聴くということにしたのだと考えられます。

実際に音楽療法を聴いてみましょう

音楽が心に安定をもたらす理由とおススメの音楽が分かったところで、早速実践していきましょう。
以下の文章では音楽療法を始めるにあたっての「準備、実践、フィードバック」の面からの注意点を記します。

音楽療法を準備するにあたっての注意点

音楽療法の準備をする際には、以下を参考にしてください。

  • 実施する部屋をなるべくきれいにする⇒万全の状態で音楽療法に臨むためにも、関係ないものを視覚から排除する。
  • なるべくジャンルが偏らないようにする⇒一本調子にならず、変化をもたらすことで、刺激を多く入れるようにする。

音楽療法を実践するにあたっての注意点

音楽療法を実践していく際には、以下の点を注意してください。

  • 肩に力を入れず、リラックスしながら聴く⇒瞑想をするように、心の波を落ち着かせることで音楽のゆらぎと同調し、効果を倍増さる。

音楽療法のフィードバックにおける注意点

音楽療法のフィードバックの時には、次のことを注意してください。

  • 自分にとっての「ベスト音楽選」を作る⇒どんな音楽が自分にとって心地よいのかを知ることで、次の音楽療法の機会に役立たせる。

音楽療法は、時間と場所を選ばずに実践できる!

音楽療法によってもたらされる効果を3つの観点から見ていきました。

音楽療法は時間と場所を選ばずに実践できるので、誰でも手軽にできるのが魅力です。

音楽の知識はなくても構いません。
ただ、純粋に楽しむ心さえ忘れなければ、より良い効果が望めること間違いなしです。