音楽療法のHow To

音楽のジャンル分け

音楽」は私達の日常生活に欠かすことのできない必需品になりました。
その用途は「娯楽」のために聴いたり「音楽療法」と呼ばれる「治療行為」に使われたりと様々です。

そして、そんな音楽のジャンルも様々あります。

今回の記事では、世界にどんな音楽が存在しているのかを「発祥・特徴」をベースにして紹介していきます。

音楽のジャンル分け

音楽の種類Ⅰ クラシック

クラシックとは、17世紀から19世紀にかけて、ヨーロッパを中心として広まった音楽のことを指しています。

著名な人物としましては、バッハやモーツアルト、ベートーヴェン等です。

また音楽の中身は「演奏形態」や「楽器」と「リズム」等によって細分化されています。

クラシック音楽とは「はじまりの音楽」とも言えるものです。
もし、クラシック音楽がなかったらこれから紹介していく音楽も、生まれなかったでしょう。

だからこそ、今でも演奏され、世界中の人々に愛されている音楽です。

クラシックの種類①交響曲

交響曲とは、管弦楽(様々な楽器で、音楽作品を演奏するために集まった大人数の合奏者)によって演奏される大規模な楽曲を指し、16世紀からその歴史が始まりました。

最初は、オペラが始まる前の導入音楽程度の位置づけでした。
しかし、17世紀後半から現在の交響曲としての形をなしていきます。

クラシックは、4つ程度の楽章(曲をいくつかに分けたそれぞれの部分)によって構成されており、物語性を帯びています。
クラシック音楽での著名人は以下の通りです。

  • フランツ・ヨーゼフ・ハイドン⇒生涯に100曲以上の交響曲を書き「交響曲の父」と呼ばれている。
  • ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト⇒舞台や映画にもなった「アマデウス」を手掛けた古典派音楽を代表する音楽家。
  • ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン⇒日本では「運命」と呼ばれている「第5番ハ短調」を手掛けた作曲家の1人で「楽聖」と呼ばれている人物。

クラシックの種類②協奏曲

協奏曲とは、16世紀半ばのイタリアから生まれた音楽です。
オルガンなどの楽器をメインに演奏していました。

しかし、今では複数の独奏楽器や管弦楽器によって演奏されています。

交響曲との違いは、協奏曲には「ソロ=1人」のパートが存在していることです。
ちなみに、ソロの楽器としてよく使われるのは「ピアノ、フルート、ホルン、バイオリン、チェロ」等があります。

また、ピアノの協奏曲で有名な人としては「フレデリック・ショパン」がいます。
手掛けた曲のほとんどがピアノ独奏曲だったため「ピアノの詩人」とも呼ばれております。

クラシックの種類③オペラ

オペラとは、演劇と音楽によって構成されている「歌劇」と呼ばれているものです。
その始まりは16世紀末のフィレンツェまで遡ります。

元々は、古代ギリシャの演劇を復興させようとしたことがきっかけです。
結果として、その要件に応じて作られたのが最古のオペラと言われている「エウリディーチェ」となります。

オペラは独唱合唱管弦楽等で構成されています。
また、登場人物が発するセリフは歌詞となっており、それらに基づいたうえで物語が展開していきます。

オペラを代表する曲には以下の通りです。

  • 魔笛⇒「ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト」が生涯で最後に完成させたオペラ。王子による姫の救出劇を描いた作品で、モーツアルトが手掛けたオペラの中で一番の人気を誇っている。
  • カルメン⇒「ジョルジュ・ビゼー」が作曲したフランス語によるオペラ。ある真面目な男が、愛によって破滅していく様子を描いた計4幕で構成されているオペラ作品である。
  • トゥーランドット⇒「ジャコモ・プッチーニ」が最後に手掛けたオペラ作品。北京を舞台にしたオペラで、姫と結婚するために王子が3つの謎を解いていく物語です。

音楽の種類Ⅱ 民族音楽

民族音楽の由来に対する考えは幾つかの説があります。
それは以下の通りです。

  • 自民族の中に伝わっている伝統的な音楽全般。
  • 民族の垣根を超えた音楽であり「古典音楽」や「大衆音楽」以外を指す音楽。
  • 民族が持つ情緒を、楽しむことを目的として作られた音楽。

民族音楽と聴くと、非常に狭い世界で作られた音楽だと想像する人もいるでしょう。

しかし、ひとえに民族音楽とは、1民族に留まらず、複数の民族が協力した上で新しい音楽を作ろうと考えた末に生まれたものなのです。

よって、互いに切磋琢磨して作り上げた汗と涙の結晶の音楽とも言えます。

民族音楽の種類①ラテン音楽

ラテン音楽とは、中南米発祥の音楽です。

ラテン・アメリカのインディアンの音楽や、アフリカから奴隷として連れてこられた黒人の音楽、コロンブスのアメリカ発見後に移民として来たヨーロッパの音楽の、3種類が合わさって、構成されています。

メインとなる楽器は「コンガ」や「ボンゴ」「クラベス」といったラテン系パーカッションの楽器です。

民族音楽の種類②フラメンコ

フラメンコは、世界に5万人以上の愛好家がいるとされている人気の音楽です。

成立した年代は諸説ありますが、スペイン南部のアンダルシアを中心に広まっていった説が有力となっています。

フラメンコは、インドを起源として西に流れてきた「ロマ族」とスペインにかって君臨した「アラブ系民族」や在来の「アンダルシア人」の民族芸能が融合して生まれました。

カスタネットを使って、歌い、踊ることを基本スタイルとしています。

民族音楽の種類③シャンソン

シャンソンは「歌謡」や「小唄」という意味を指す言葉です。
元々は、教会の修道士や、司祭が親しみやすい伝道歌を創ろうと思ったのがきっかけです。
そして、881年の「聖女ウーラリーの物語」が最古のシャンソンだと言われています。

また、シャンソンは、歌詞に物語性を持たせるために、日常会話隠語をベースにして音楽を作っているのです。

音楽の種類Ⅲ ポップス

ポップスとは、ポピュラーミュージックの略称です。
ポップスは、大衆向けに作られた音楽であり、幅広い音楽層に対応することを目的としています。

ポップス音楽の特徴は「印象に残るメロディライン」や「人々の共感を生むような歌詞」で表現されています。

ポップス音楽とは、基本「人々が好む音楽」を指します。
しかし、どんな音楽を好むのかは人それぞれなので実態が掴みにくいです。

また、クラシックのような形式を重要視する音楽と比べると、作り手側の主義・思想ではなく聴き手側に重きを置くため、自分の思い通りの音楽が書きにくいとも考えられます。

ポップスの種類①J-POP

J-POPとは、日本で制作されたポピュラー音楽を指す言葉です。
1989年頃にその言葉と概念が誕生しました。従来の日本音楽との違いは、以下の通りになります。

  • BGMが早い。
  • メロディやコード進行、リズム等が洋楽の影響を受けている。

ポップスの種類②K-POP

K-POPとは、甘いバラードからヒップホップまで、あらゆるジャンルを網羅している韓国音楽のことです。1990年代後半からその言葉が生まれました。

また、韓国の市場は狭いため、海外進出を目途に置いた上での曲制作を心がけているのです。

ポップスの種類③歌謡曲

歌謡曲は、昭和時代の日本で流行した音楽のことです。

元々の意味は、明治時代に日本に入ってきたヨーロッパやアメリカの芸術歌曲を指す言葉でした。

しかし、時代と共に、そのニュアンスも変わります。

更に、1970年代の洋風音楽の影響を受けた、いわゆる「ニューミュージック」の台頭で、厳密に歌謡曲と呼ばれる音楽は影を潜めるようになったのです。

音楽の種類Ⅳ ブラックミュージック

ブラックミュージックとは、アフリカ系アメリカ人発祥の音楽を指す言葉です。
強いビートとうねりが特徴的で、大きく2つに分けることができます。

  • 宗教歌⇒宗教行事に基づいていく中で生まれた音楽。
  • 霊歌⇒黒人の共同体の中で育まれ、アメリカ民謡に影響を与えた宗教歌の1つ。

ブラックミュージックには、アフリカ系アメリカ人の魂が込められています。

また、海外からの音楽を取り入れることで、自分達の音楽をより良くしていきたいという思いが読み取れます。

ブラックミュージックの種類①ブルース

ブルースは19世紀後半、アメリカ深南部で奴隷としてアフリカから連れてこられたアフリカ系アメリカ人と、その子孫達の手によって作り出された音楽です。

ブルースにはいくつか種類があります。以下の通りです。

  • カントリーブルース⇒ピアノやエレキギター、アコースティックギターの弾き語りを基本としたブルース。
  • ファンクブルース⇒「ビート」の要素を取り入れ、1960年代から誕生したブルース。
  • デルタブルース⇒アメリカ南部ミシシッピ川流域で発生し、ギターとハーモニカをメインの演奏楽器とするブルース。自分の内面を音楽で表現することを目的としている。

ブラックミュージックの種類②ゴスペル

ゴスペルは17世紀、母国の言語や宗教を奪われたアフリカ系アメリカ人が「明日への希望」や「虐げられた屈辱」との思いを込めて、教会で歌ったのが始まりとされています。

音楽の特徴は、アフリカ音楽特有のハーモニーやリズムに加えて、ヨーロッパの讃美歌が持つ感性を融合させて生みだされた音楽です。

ゴスペルを題材にした音楽映画も作られており、有名な曲には「天使にラブ・ソングを」があります。

ブラックミュージックの種類③ヒップホップミュージック

ヒップホップミュージックとは元々、音楽やダンスを楽しむ「ブロックパーティ」の現場で歌い、演奏されていた音楽でした。

しかし「シュガーヒル・ギャング」という音楽グループが出したヒップホップミュージック「Rapper’s Delight」のヒットがきっかけで、公に知られるようになりました。

その種類は以下の通りです。

  • サウス⇒テキサス州のヒューストンや、ジョージア州のアトランタを中心に広まった音楽。遅めのテンポや電子音的なチープサウンドを取り入れた。
  • イーストコースト⇒ニューヨークを中心に広まった音楽。ジャズなどをサンプリングしたビートにラップをのせるスタイルを取り入れた。
  • ミドルスクール⇒1980年代から生まれた政治的なメッセージをポップ寄りにした。

音楽の種類Ⅴ ジャズ

ジャズは、19世紀から20世紀にかけてアメリカ南部で生まれた音楽を指します。

西洋音楽とアフリカ系アメリカ音楽が持つ、リズム感と独自の音や拍の変化をベースに、複合リズムによる演奏を行っています。

使われる楽器は金管楽器ドラムス木管楽器が主流です。

ジャズ音楽の特徴は、従来の音楽の軸を固めた上で、いかに効果的に外部からの音楽を取り入れていくのかを目的とした音楽と言えます。
相手の良さを受け入れた「柔軟性」に優れた音楽です。

ジャズの種類①クロスオーバー

クロスオーバーとは、ジャンルの垣根を超えて音楽のスタイルを融合させた音楽のことです。

その内訳は、ジャズに電子音楽を融合させたり、ヘヴィメタルに黒人音楽を融合させたりしています。

ジャズの種類②FUSION(フュージョン)

FUSIONは1970年代半ばに誕生しました。
その音楽は、ジャズをベースにロックやR&B等を自由に融合させた音楽のことです。

代表的な曲としては以下の音楽があります。

  • グローヴァー・ワシントン・ジュニア⇒ワインライト
  • ジョー・サンプル⇒虹の楽園

ジャズの種類③AOR

AORには2つの捉え方があります。

1つ目は「アダルトオリエンテッドロック」です。
スローテンポでゆったりとした都会的でアダルトな雰囲気を纏っている音楽になります。

2つ目は「アルバムオリエンテッドロック」です。
曲を「アルバム」の形としてまとめ上げた上で、1つの作品として、楽しんでもらうことを目的とした音楽になります。

AORの捉え方は前者が日本で、後者は海外の受け取り方です。

音楽の種類Ⅵ ロック

ロックとは、1950年代のアメリカに現れた大衆音楽のスタイルの1つを指します。

R&Bやジャズ、ブルースといった既存のジャンルを応用した音楽構成が特徴的です。

「ロックに定義はない」という言葉が示す通り、ロックには「こうあらねばならない、こうしなければならない」といった概念は存在しません。

結果として、ロック音楽は「既存の音楽のスタイルをいかに壊し、表現していく」のかを目指した音楽と言えます。その思いが結果として、激しく歪みを加えた演奏に染み出ているのです。

だからこそ、歌詞やそこに込められたメッセージも強烈という特徴があります。

ロックの種類①ヘビーメタル

ヘビーメタルは1970年代後半に生まれました。
そのベースは、大音量でアグレッシブな「ハードロック」から細分化されています。

ギターの音は金属的で、速いリズムでドラムを叩き、全体的にスピード感を与えるロック音楽です。

曲のテーマは「政治、社会批判、宗教、死、悪魔崇拝」といったシリアスをテーマにしつつ、バロック音楽のような様式美のスタイルも取り入れてもいます。

ロックの種類②パンクロック

パンクロックは1970年代から登場したロック音楽の種類の1つです。
その特徴はギターサウンドを歪ませ、速いテンポで、攻撃的な歌詞を叫ぶことにあります。

パンクロックの種類は以下の通りです。

  • ハードコア⇒従来のパンクロックよりも、より攻撃的な歌詞、政治的な主張のニュアンスが強いパンクロック。
  • メロコア⇒メロディのほとんどないハードコアにギターフレーズや歌を取り入れ、受け入れやすいようにしたパンクロック。
  • 青春パンク⇒「青春」や「思春期」をテーマにした、シンプルなコード進行と分かりやすい曲を意識したパンクロック。

ロックの種類③R&B(リズムアンドブルース)

R&Bは1940年代後半のアメリカのニューオーリンズで発祥した、アフリカ系のアメリカ人が生みだしたポピュラーミュージックの1つです。

ブルース、ジャズ、ゴスペルの要素を組み合わせた都会的なリズムが特徴的となっております。

ちなみにかの有名な「マイケルジャクソン」はR&Bに「ボーカルアレンジメント」や電子音楽を取り入れた「コンテンポラリーR&B」を手掛けました。

音楽の種類Ⅶ ラテン音楽

ラテン音楽とは主に、スペイン語圏内において生まれた音楽のことです。

その中身は、ラテン系列(スペインとポルトガル)と南アメリカの原住民、いわゆる奴隷として連れてこられた黒人の音楽が入り混じっています。

ラテン音楽は主に、ダンス音楽の形式を取っているのが特徴的です。

男女の愛情や神への信仰心と言った「目には見えにくい」思いをダンスにし、表現する非常にスピリチュアル精神溢れる音楽となっています。

ラテン音楽の種類①ボレロ

ボレロの意味は2つです。
スペインでは「ダンス音楽」のことで、キューバでは「大衆音楽」のことを指します。

1780年頃に、舞踊家「セバスティアーノ・カレッソ」が創作した作品を皮切りに、19世紀になるとヨーロッパ全体に広がって行きました。

ボレロの特徴は基本3拍子です。歌にカスタネットやギターでリズムを付け、1人またはペアで踊るダンスのことです。

ラテン音楽の種類②ルンバ

ルンバはキューバのアフリカ系住民の間で誕生したリズムとダンス、両方の特徴を兼ね備えた音楽のことです。1930年代、アメリカ経由で広まりました。

男女の絡みや葛藤、互いへの愛情を表現しリズム・ダンスと言えます。

ルンバは4拍子のスローテンポな音楽に合わせ、なめらかにしなやかに踊るのが特徴的です。

ラテン音楽の種類③マンボ

マンボは1938年「オレステス・ロペス」と「カチャオ・ロペス」によって作られた「Mambo」から歴史が始まりました。

そして、キューバ音楽をベースとしてダンスのスタイルを取っているのがマンボです。

神との対話を目的とした音楽とも言われています。

状況や気分によってジャンルの聴き分けをしよう!

主な音楽を7種類紹介しました。

どの音楽も個性があり、聴く者の心を豊かにしてくれるジャンルです。

音楽には人を癒す力があります。
しかし、一概にどの音楽が適しているのかを判断するのは難しいです。
状況や気分によって、ジャンルの聴き分けをしてみましょう。