音楽療法のHow To

【超初心者向け】音楽教育と音楽療法の違いとは?

音楽教育は、決して音楽を教えることに終始するのではなく、人間の形成や人格の豊かさに深く関わる教育です。

その意味で音楽療法的な実践が当然加味されてよいと考えます。

そこで今回は、音楽療法についてより深く知るために、音楽教育と音楽療法の違いについて説明します。

【超初心者向け】音楽教育と音楽療法の違いとは?

活動としての音楽療法と音楽教育とは、両者はたいへん近づくことはあるにしても、本質的には違うものだと考えています。

目的の違い

音楽教育の目的とは?

音楽教育では音楽そのものが目的になり、音楽を如何によく児童に理解させるかが、教師の任務になります。

例えば、楽譜の読み方を教えることも、その作品にまつわる作曲家の逸話を話すことも、楽器の演奏を習得することる、旋律をきれいに歌えるようになることも、すべて、音楽そのものをよく理解してもらう目的につながっています。

音楽の知識が得られ、その知識が人生の中で有効に役立ってくれることを願います。

音楽療法の目的とは?

それに対して音楽療法では、音楽は患者さんやクライエントの行動の変化を引き起こす手段として、広く治療的な目的で用いられます。

例えば、楽譜の読み方を覚えることがあるとしたら、それはこれから一緒に音楽を演奏するために必要だから覚えてもらうわけです。

演奏や歌うことの喜びを味わってもらうことによって、身体的な発散を促し、それによって表現に対する気遅れや恐怖を少しでも和らげてもらうために必要なのです。

重要な点の違い


それ以上に本質的だと思われるのは、教育では、教師サイドから「与える」ことが重要であるのに対して、音楽療法では、相手の音楽を「受け取る」ことが大事であることです。

音楽教育の重要なポイントは?

授業の中で教師は、どうしたら子どもにその日の授業の内容がよく分かってもらえるかを考え、周到な準備をします。
生徒の興味がそれないように、先生は知識を総動員して、授業をより魅力的なものに組み立てるように心がけます。

音楽療法の重要なポイントは?

それに対して音楽療法では、患者さんやクライエントに毎回のセッションの中で、健康に向かうためのプラスになる体験を1つでもしてもらえることを願います。
自由に自己を表現することが出来るように心がけ、彼らの行動を「待ち」、待った結果、たとえ患者さんやクライエントの表現が不完全でも、それらを患者さんの現在の偽らない自己表現だとして受け止め、それを尊重し、その音楽とコミュニケーションしようと考えます。

つまり治療者が行うことは、彼らに知識を与えることではなく、彼らを勇気づけ、彼らに自由な音楽で自己表現をしてもらうよう、謙虚に且つ友好的に彼らと接することなのです。

音楽教育と音楽療法には近しい点もある

しかしそうは言っても治療の場には教育的観点が幾重にも入り込みます。

精神遅滞の子どもの教育で行われる論争は、彼らに対するアプローチが、ただ出来ないことを仕込むことなのか、それともいま述べたように彼らに自由に自己を表現してもらって自己の価値に気付くことを促すのか、という点であるように思われます。

障害児の領域こそまさに、療法が教育に限りなく近づく領域であり、教えることの大事さと、彼らの能力を充分に生かすことでその中から自然に発達が促進されることの大切さが、共に必要となる領域だと言えましょう。

同様に、成人の音楽療法でも、再教育が重要な治療機転につながることを知っておかなければなりません。


間違って覚えた社会適応に不都合な生き方や、習い残してきた社会適応のいろはを、改めて学習し直してもらうことが、紛れもない彼らにとっての治療であることを認識すべきなのです。

つまり治療の現場では、治療と教育の境界は判然としなくなり、両者が互いに緊密に結び付きながら、治療という目的に向かって進んでいることを理解してほしいと思います。 

音楽療法には、教育的面もある

いかがだったでしょうか。

音楽療法について、音楽教育と比較することで更に理解が深まったかと思います。

最後までご覧いただきありがとうございます。