音楽が、人の情緒面に大きな影響をおよぼすことはよく知られています。
また、身体機能にもさまざまな効果をもたらすことは古くから体験的に知られています。
しかし、音楽の生理的な側面についての体系的な研究が行なわれるようになったのは、20世紀に入ってからです。
今回は、音楽と呼吸の関係について解説します!
音楽をきくと呼吸は変化するのか?|音楽の生理的側面を理解しよう!

音楽と呼吸回数の増減
心拍にくらべると音楽の呼吸に対する影響は、当初、あまり注目されていませんでした。
音楽の呼吸への作用に関する研究では、あるものは呼吸数を検査し、あるものは呼吸の深さを研究していて、総括的に論じることはできません。
一般に、音楽によってえられる興奮や満足感は、呼吸に変化を与え、音楽のテンポ、聴取者の注意の寄せ方によって、その影響のされ方はことなると考えられています。
Weld(1912)、Lowell & Morgan(1942)、Kneutgen(1970)は音楽的なテンポによって呼吸が影響をうけることについて否定的な見解を示しているが、音楽の種類に関係なく、呼吸回数は増加するとする報告も多いです。
Ellis & Brighouseによる音楽と呼吸に関する実験
Ellis & Brighouse(1952)らは、曲によって呼吸や脈拍のうける反応は異なるのではないかと考え、異なる以下の曲を36人の大学生に聞かせ、呼吸の変化を調べました。
- ホールの「ブルーインターバル」
- リストの「ハンガリア狂詩曲」
- ドビュッシーの「牧神の午後」
その結果、どの曲を聞いても呼吸数は増加していたが、増加の割合は「ハンガリア狂詩曲」が一番多く、「牧神の午後」が一番少なくなりました。
つまり、音楽刺激により呼吸数の増加がみられ、なかでも刺激的な音楽にその傾向の強いことが示されました。
本当に音楽は呼吸数を増加させるのか?
Dejong et al(1973)は、聴取者のうち音楽を不快なものと評価するものが半数をこえることは決してないとしており、音楽を聞いたときに感じる満足の度合が高いときに呼吸数は増加するとしています。
また、Ries(1969)も同様な結果を報告しているが、この意味からいえば、どのような音楽も呼吸数を増加させるとするEllis & Brighouseらの主張も正しいことになるが、音楽に対する呼吸の反応性や対象による相違について未だ不明な部分が多いです。
ただ、Miles & Tilly (1935)らが指摘しているように、音楽の種類や被験者によってその反応に違いがみられており、音楽は呼吸に対してなんらかの影響をもっているものと考えられています。
呼吸と音楽は不透明な点がまだ多い

いかがだったでしょうか。
呼吸と音楽については、まだ不透明な部分が多いため、だからこそ、自分で答えを見つけていく楽しさもあるかと思います。
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