音楽療法のHow To

皮膚電気反応への音楽の影響について考察!


音楽が、人の情緒面に大きな影響をおよぼすことはよく知られています。

また、身体機能にもさまざまな効果をもたらすことは古くから体験的に知られています。

しかし、音楽の生理的な側面についての体系的な研究が行なわれるようになったのは、20世紀に入ってからです。

今回は、音楽による皮膚電気反応への影響について解説します!

皮膚電気反応への音楽の影響について考察!

皮膚電気反応は、自律神経系の反応の目安

galvanic skin response(GSR)は、情動、不安、注意、覚醒の指標となることが知られており、生体の自律神経系の反応の目安としてよく利用されています。

しかし、GSRに影響を与える要因は多いので、その測定結果の評価は、反応や測定の基本的な特徴をよくわきまえた上で行なわれたものかについて考慮する必要があります。

すなわち、音楽を聞いたときのGSRの変化が、一般的な刺激として作用した結果生じたものか、音楽的な刺激として作用して生じたものかについて考慮する必要があります

音楽とGSRに関する研究

Wechsler D(1925)は、行進曲、オペラ、ラグタイムなどに対するGSRの反応をみると、いずれの曲にも反応がみられたが、その反応はピンによる痛み刺激や音刺激などの一般的な刺激よりも少なかったといいます。

Phares ML(1934)は、音楽による情緒的な変化とGSRの変化量に対応があり、テンポの早い曲においてはGSRの変化も急激であり、遅い曲または鎮静的な曲では、反応もゆっくりであることを見いだしているが、その評価の困難なことを自ら指摘しています。

HenkinによるGSRと興奮状態の実験

それに対して、Henkin(1955、1957)は、音楽を聞いたときのGSRの時間的経過と音楽による情動の興奮状態との関係に注目しました。

彼は次のような実験によって、メロディに対するGSR反応は時間とともに電気抵抗を減じ、リズムに対しては時間とともに増大することを立証しました。

彼は、曲のメロディとリズムの要因を因子分析によって求めた後に、各曲を聞いているときのGSRを測定し、音楽を聞きはじめてから1分後と2分18秒後の電気抵抗値との差を傾きとして現わしました

その結果、曲想の因子分析でメロディ因子の強かった曲の傾きは正の方向に位置し、リズム因子の強かったものは負の方向、無音はその中間よりやや正の方向によったところに位置した

こうした方法によって、リズムに対してGSRは時間とともに増大し、メロディに対しては減少することを明らかにしています

静かな音楽・興奮的な音楽とGSRの違い

Zimny & Weidenfeller(1962)らも、静かな音楽がGSRを減少させ、興奮的な音楽は増大させるとしています。

また、この傾向は、年少者の方が成人よりも顕著で、年少者では成人よりもGSRの潜時が短く、反応は大きいです。

楽曲別のGSRの関係

Fraisse(1953)は、バッハのフーガを聴いたときに、テーマがあらわれるたびに大きな反応がGSRにあらわれることを見いだしています。

また、被験者の音楽的素養とGSRとの関係を調べ、一般に音楽的素養が豊かなほどGSRの反応は大きくなるが、分析的な聴き方や職業的な音楽家では、逆にその反応は減少することを述べています。

泉山(1962)は、いろいろな楽曲に対するGSRの反応波形を比較し、音楽に対する情動反応は音楽のスタイルや聴取態度に支配されることを指摘しました。

静かな演奏のクラシック曲の方が、力強い演奏のポピュラー曲よりも、はるかに大きな反応波を呈しています。

桜林と坂本(1958)は、メトロノーム、マーチ、ジャズ、クラシック、オペラにたいするGSR反応を比較し、マーチはメトロノーム型に近く、はじめ全般の方が、反応は強く、クラシックやオペラでは、むしろ後半の方
に反応の強くなることを明らかにしました

GSRと音楽には、一定の関係性がある。

いかがだったでしょうか。

GSRと音楽には関係性が見て取れますので、実際に患者の反応を見ながら治療を行っても良いかもしれませんね。

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