皆さんは、音楽療法は何かと聞かれ、しっかりと説明できますでしょうか?
実は、2つの定義の仕方があることをご存知でしょうか?
今回は、初心者でもわかるよう音楽療法の定義や特徴について解説した記事となりますので、
ぜひ最後まで、御覧ください!
【超初心者向け】音楽療法とは何か?2つの定義から徹底解説!

音楽療法には、2つの定義の仕方があります。
音楽療法の定義①音楽療法の内容に主眼
1つは音楽療法とは、「音楽の持つ生理的、心理的、社会的働きを、心身の障害の回復、機能の維持改善、生活の質の向上に向けて、意図的、計画的に活用して行われる治療技法である」というように、もっぱら音楽療法の内容に主眼を置いて定義をする方法です。
これは松井紀和による定義ですが、この定義の特徴は、音楽療法を誰がするのかを定めない点です。
音楽療法は医者がしてもよく、看護婦がしてもよく、もちろん音楽療法士がしてもよいことは言うまでもありません。どんな職業の人でも、それが定義にかなっていれば、誰がしても音楽療法ということができます。
この「誰が音楽療法をするのか」を定めない定義の仕方は、音楽療法の職業がまだ確立していない国では、ごく自然で一般に受け入れ易い定義だと考えられます。
日本の場合は、従来この定義の仕方が取られてきました。
音楽療法の定義②:音楽療法士の専門的な仕事と位置づけ、
しかし、音楽療法の先進国である諸外国の場合を見ますと、別の定義の仕方が行われています。
一例を挙げますと、それは次のような定義です。
音楽療法とは、「音楽療法士が、音楽の持っている心理的、生理的、社会的機能を用いて、対象者の行動(あるいは態度、構え)の変化を目的として行う、治療的、教育的活動である」ということになります。
これはルード(Even Ruud)の「音楽療法」(村井靖児訳)からの引用ですが、音楽療法というものを、音楽療法士の専門的な仕事と位置づけ、音楽療法士の職業を確定しています。
音楽療法をめぐる社会的問題
これら2つの定義は、音楽療法の発展途上にあるわが国の場合には、たいへん難しい社会的な問題を含んでいます。
音楽療法をする側に言わせれば、音楽療法を資格もない人達に勝手にやられては困る、という不満や非難が出るでしょうし、一方、臨床場面で音楽療法をその時々に自由に使いたい医療関係者のあいだからは、自分達も音楽療法をやる権利は当然あるという意見が出るでしょう。
音楽療法が職業として確立していく過渡的な時期には、必ず出てくる問題です。
ただいずれの場合にも言えることは、音楽療法の教育を受けていない人が音楽療法をするのは、どんな場合でも問題だという点です。
自分は音楽が出来るから音楽療法をやってみようとか、音楽は病気に効くそうだ、音楽は心を慰めてくれるそうだという、単なるロマンティックな考えでは、音楽療法をしてもらっては困るということなのです。
ですから音楽療法はやはり音楽療法をきちんと勉強した人が、資格認定の手続きをとった上で行う活動であるべきなのです。
それは医者や看護婦がきちんと資格を取って仕事をするのと同じように、訓練され、専門的教育を受けた人が行う高度に専門化した仕事だということです。
外国では、音楽療法の定義は音楽療法家の数ほどある、とよく言われます。
臨床技術は、毎度毎度修正され深められていく

臨床技術は、教科書や専門雑誌から教えられるものではなく、日々顔を合わせる患者さんやクライエントから学んでいくものです。
経験ある臨床家なら誰でも口にする言葉です。
昨日まで正しいと思っていたことが、今日診た患者さんによって覆されることはちっとも不思議でないのです。
臨床技術は、このように毎度毎度修正され深められていくものなのです。
だとすれば、治療者の考えが、経験の多寡によって異なり、治療者のパーソナリティによって影響を受けるのは、ごく当然なことだと言えましょう。
音楽療法の定義が人によって少しずつ違うのは、当り前のことなのです。
そこでここでは、音楽療法とは何かを定義して先人の轍を踏むのを避け、ルードが彼の本(前述)の中で行ったように、それがないと音楽療法とは言えない音楽療法の必要要件をいくつか拾い出して、それぞれについて具体的
な説明を試みたいと思います。
以上、最後までご覧いただき、ありがとうございました。