音楽の活用法により音楽療法は細分化されています。
しかし、活動的音楽療法は、歌唱、器楽演奏、創作を意味します。
今回はそんな活動的音楽療法の高齢者領域について、解説します。
高齢者向けの活動的音楽療法について徹底解説!

最近急速に広まったのがこの領域であるが、音楽活動として行われていても、音楽療法として行われていることは少ないです。
老人にとっての活動的音楽療法とは、個々の老人の心身の適応水準と欲求に応じた歌唱、演奏、舞踊を行い、心身のリハビリテーションをはかることです。
高齢者向けの活動的音楽療法の対象とは?
脳血管障害による身体的機能障害、痴呆老人を対象として行われることが多いが、外科的疾患のリハビリテーションの一つとしても利用されています。
高齢化社会となった現在、特別に疾患を持たない老人に対しても、老化現象防止や、生き生きとした生活の目標の一つとしての音楽療法も必要となってきています。
高齢者向けの活動的音楽療法の方法とは?
痴呆老人に対しては、田中氏により多数のケースの試みが行われてきました。
その中で活動的音楽療法としては、老人にも扱える簡単な楽器、すなわちタンバリン、カスタネット、小太鼓、大太鼓、トライアングル、笛などを用いた合奏やコーラスなどが挙げられます。
音楽療法導入の意義は、老人にとって記憶の想起のきっかけを果たすことにある。 言語導ではなかなかよみがえらない過去が、昔のメロディーを歌ったり演奏することにより、“なつかしい思い出”やつらく悲しい思い出”として想起されるようになります。
つまり、記憶の想起から、脳の高次機能の刺激により記憶喪失、記憶減退の回復の一助となるのです。
感情失禁などを持つ老人は、合唱などにより情動が顕著になることが多くみられるが、これによってカタルシス効果が生じて状況が改善されることもありました。
特別に疾患を持たない老人にとっても、痴呆性老化現象の予防対策としても音楽療法は重要になりつつあり、老人ホーム、地域の老人クラブなどにおいても音楽療法を導入する傾向は増大しつつあります。
老人においては、特に日本民謡、浪曲、軍歌を用いると効果的です。
なぜなら老人の若い頃は、日本音楽と接する機会が今の若者と比べられぬほど多かったからであり、青春期に作られた記憶と関連する音楽は、ほとんど当時の流行歌であるからです。
老人にリトミックを適用する場合もまれではないが、経験的に、民謡、盆踊りなどの日本音楽による対応の方が効果的であるといわれています。
欧米ではホスピス、外科手術の術前、術後等にも音楽療法が導入されているが、ほとんどが受容的音楽療法であるので、省略します。
活動的音楽療法は、もっと広く実践で活用されるべき

我国における活動的音楽療法について従来の文献を参考にさせていただきながら概略をまとめてみてみました。
活動的音楽療法は、情緒に働きかけ、対人関係の安定の一助ともなり、かつ機能訓練としても大きな意味があることを認識し今後それぞれの対象に最も適した音楽療法の実践が行われるよう期待したいと思います。