音楽療法のHow To

児童向けの活動的音楽療法について徹底解説!

音楽の活用法により音楽療法は細分化されています。

しかし、活動的音楽療法は、歌唱、器楽演奏、創作を意味します。

今回はそんな活動的音楽療法の児童領域について、解説します。

児童向けの活動的音楽療法について徹底解説!

児童領域の活動的音楽療法の対象

正常の乳幼児にとっても聴覚系、運動系、情緒面の発達に音楽は欠かすことのできないものであり、それ故に障害を持つ児童にとっても音楽は有効に働きます。

自閉症、攻料的傾向の強い児童、言語的に発達遅滞の児童、対人関係のもてない児童、チック、身体的には四肢の運動障害、盲聾唖者も対象に含まれます。

身体障害児童に対して、音楽は単に機能訓練という意味でなく、心理的な発達促進因子としても重要です。

言語的障害のある児童にとって、音楽は非言語的交流手段として大変重要な意義があります。

児童領域の活動的音楽療法で用いられる楽器

感覚的に楽しいものであれば、正式な楽器でなくてもよいが、多く使用されているものは、ラッパ、ガラガラ、カスタネット、タンバリン、琴などです。

どんな物にも興味を持つ年代であるので、必ずしも従来の方法通りに使用しなくても大丈夫です

集団療法を行なうにあたっては、同じ楽器が複数あることが望ましいです。

実際の児童領域の活動的音楽療法の治療

治療にあたり集団音楽療法にするか個人音楽療法にするのかの選択が問題となるが、特に情緒障害の強い例、言語の全くない例等、治療者が特に注意を多く払う必要のある例を個人音楽療法の基準にすることが多いです。

個人音楽療法にしても、集団音楽療法にしても、まず、聴く視る等の感覚的な受動的音楽療法の後に導入していくことが望ましいです。

楽器の導入にあたっては、好きなように楽器に触れさせることから始めます。

治療者はできるだけ患者の意向を尊重しながら漸次演奏、合奏、合唱が楽しめるように心がけます。

具体的には治療者の模倣から始まります。

治療といっても音楽は芸術の一つであるので、ハーモニーも大切です。

そのためにはリズム楽器、メロディー楽器等の異なった種類の楽器の組合せも必要です。

曲は、患児の発達水準にも左右されるが、児童の好む曲、知っている曲で、やさしい拍子の曲から始めるのがよく、必要に応じては編曲もします。

次に松井氏による治療の実際を引用します。

①発達療法的音楽療法

発達水準の類似した3~5人位の集団を対象にそれぞれの水準に応じたプログラムを組む方法です。

障害別や年齢別でなく、発達水準のみで構成します。

②リズムを中心にした治療教育的音楽療法

歴史的には精神発達遅滞児を対象にした治療教育の一貫として行われてきました。

ポイントは以下のとおりです。

  • 感覚活動を充分体験させます。
    身体運動と音楽リズムの協応をゆっくり発達させます。
    言語及び認知機能の発達を同時に考えます。
  • リズムは集団の平均適応水準によって決めるが、まず1拍子、2拍子等の基本リズムから始めます。
  • 楽しみの要素を忘れないようにします。
  • 集団の相互のフィードバックや、治療者からの援助を個々のメンバーに行ないます。

③遊戯療法的音楽療法

対人的交流の発展や自我機能の改善を目標にしたもので、普通の児童集団で遊戯として行われる活動に近いもので、ポイントは以下のとおりです。

  • 楽しみを増加するように常に心がけます。
  • 個々の児童に合った動きを支援し、かつ全体のまとまりを考えます。
  • 集団的交流を促進するような働きかけを常に行ないます。
  • 即興的展開を忘れないようにします。
  • 治療者はなるべく前面に出ないようにします。

①、②、③のいずれにしても、児童・幼児の場合は、特に全人的な発達という必要性から、感覚器系、運動器系を通して社会体験をするという意義があります。

時間については、幼児30分、児童40~50分位が妥当で、回数は轄の種類や程によるが、2~3カ月を1クールとして検討し、有効性が示唆されたなら、また次の2~3カ月行っていくことが望ましいです。

児童が楽しめる仕組みから始めよう

いかがだったでしょうか。

児童に対しては、とにかく楽しめるような仕組みを心がけると良いと思います。

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最後までご覧下さりありがとうございました。