音楽療法のHow To

音楽の好みを理解しよう

一般的にいって、人の好みは千差万別です。

もちろん、音楽を好む人も、嫌いな人もいます。

音楽を好む人にも自分の好みの音楽があるし、好みに合わない音楽もあります。

本日はそんな音楽の好みについて解説し、音楽の理解を深めていきます。

音楽の好みを理解しよう

音楽療法を行う場合に、音楽の嫌いな人にいろいろなクラシック音楽をきかせても、あまり効果はあがらないし、かえって拒絶反応を示すこともおこりえいます。

隣家のピアノがうるさいといって隣人を殺したというピアノ殺人事件もおこっており、音楽は時に騒音となり、ストレスとなりえます。

音楽が好きな人でも、クラシック音楽が好きであるが、ジャズやロックは嫌いだという人もあるし、又その反対の人もいます。

クラシック音楽を好む人でもバッハやバロック音楽が好きだがワグナーは嫌いだという人もいるし、又ピアノや室内楽が好きだがオペラは嫌いだという人、或いはその逆の人もいます。

このように人によって音楽の好みは著しく異なるし、音楽をきいた反応も当然人によって異なってきます

音楽をきく環境によっても音楽の影響は異なり、嫌いな音楽をきいてもすばらしいと感じるような場合もおこりえます

音楽の特徴

音楽には、音の強弱と高低テンポの速い遅い長調と短調といった特徴があり、この特徴が有機的に関連づけられて、メロディリズムハーモニーが形成されることになります。

この特徴を充分に把握して作曲者の考え通りの音楽を再現したり、或いは自分の考えで独得の音楽を提示することができるのが演奏者であり、指揮者です。

音楽のメロディ、リズム、ハーモニーは演奏者、指揮者によっても著しく異なるものです。

同じ音楽でも演奏者や指揮者によって甚だ異った音楽ができあがってきます

例えばショパンのノクターン”を弾いたアルフレッド・コルトーとルービンスタインのレコードをききくらべてみると、同じノクターンでも著しくちがいます。

ベートーヴェンの第5交響曲「運命の冒頭の”ダダダダーダダダダー”という運命が戸をたたくというモチーフも、トスカニーニの運命が短かく、フルトヴェングラーの運命が数秒長いといったように、演奏者、指揮者によって、テンポ、音の強弱、メロディの歌わせ方などによって演奏スタイルも演奏時間もちがってくるし聴くものにとっても受け取り方がちがってきます。

ここに演奏者や指揮者に対する好みができてくるし、演奏された音楽に対する好みや好ききらいも自ずとちがってくることになります。

音楽の効罪

行進曲をきいていたり、テンポの早いワルツなどをきいていると、たとえ音楽を好まない人でも何となく気分が爽快となり、気持がわきたってくるのではないでしょうか。

一方テンポの遅い子守歌のような音楽をきいていると、気持が和らぎ、ねむけを催してくるようになります。

このように音楽をきいていると、心身に大きな影響を与えることが明らかにされています。

これが音楽療法の基礎となっています。

音楽の心身に対する効果としては、

  1. 心身のバランスの回復
  2. 気分の爽快化
  3. 心理状態の回復

などがあげられるが、これが音楽療法の効果が期待される理由です。
これは音楽の効果の一つといえます。

しかし逆に音楽が騒音やストレスとなって害を及ぼすことも知られています。
音楽の罪といえるかどうか問題ではあるが、軍国主義やナショナリズムの高揚に音楽が大いに利用されました。
ドイツでは第二次世界大戦中ヒトラーはワグナーの音楽を利用して戦意の高揚をはかりました。

わが国でも戦争中多くの軍歌が作曲されました。

戦争中に出征する兵隊を送る時には軍歌を歌って送りだしました。

勝ってくるぞと勇ましく”“愛馬行進曲”“予科練の歌”など今から50年以上も前に歌われた歌は、一部の人にいわせると戦争賛美の歌だとか軍国主義だとかいわれますが、60歳以上の人達がカラオケで歌う軍歌は青春時代のノスタルジアなのです。

新しい歌は中々覚えられないが、若い時に覚えた歌は歌詞もうろ覚えながら覚えています。

面白いことには老人ホームでボケ老人に軍歌をきかせると元気に歌いだします。

歌詞も結構覚えている人もいます。

従って痴呆老人の音楽療法に軍歌をきかせることも一つの方法です。

病院の音楽

昭和31年8月から約1年アメリカのヒューストンにあるベイラー大学へ留学しました。

このメディカルセンターにアメリカの3大ガン病院といわれたM. D. Anderson病院がありました。

初めてこの病院を訪れた時、入口を入ると音楽が流れているのに気がつきました。

今でこそバックグラウンドミュージックBGMが病院で流れているのは稀ではないが、当時の日本の病院ではBGMが流されていた病院はまだなかったです。

そこで院長のDr.Taylorに会った折病院で音楽を流すのはどういう意味かをたずねてみました。

すると院長は「この病院はガン或いはガンを疑われたり、又はガンを心配している患者達が入院したり、外来を訪れたりしています。
彼等はガンに対する心配やノイローゼに陥入っている人達が多いので、少しでも気分を和らげるために音楽をきかせるようにしているのだ」ということでした。

そしてこのように心配したり、気分が滅入っているような人達にはあまり陽気な音楽や気分を高揚させる音楽はむかない、かえって騒々しくストレスになってしまいます。

それよりモーツァルトやシューベルトのような静かでおだやかな音楽をきかせる方が気持が鎮静するようだ、という話でした。

音楽が実際に患者の精神不安状態を和らげるために使われているのを見たのはこれが始めてでした。

音楽療法の効用

心身症の治療に種々の芸術、例えば絵、書道、箱庭、俳句などの芸術が治療の一手段として用いられており、効果がみられている症例があります。

これらは芸術によって心の問題をとり除くことができた結果です。

音楽療法も高血圧、心臓神経症、消化性潰瘍、神経性下痢などの心身症や精神族患を対象としてアメリカで行われ、近年わが国でも積極的に行われるようになってきています。

音楽療法の適応も歯科治療の時の痛みや恐怖心を和らげる為にクラシック音楽が用いられています。

更に心身障害者達の音楽活動も広い意味の音楽療法といえます。

去る4月東京都内の身障者団体がベートーヴェンの第九交響曲に挑戦し、半年間の練習を重ねた結果立派な演奏をしたという記事が報道されました。

参加者は全盲の人や知恵遅れの人も少なくなかったそうであるが、毎日テープをきいてドイツ語の歌詞を覚え大成功をおさめました。

これも音楽を用いて心身障害者の人々に明るい希望と自信を与えたいという点で音楽療法の効果といえます。

音楽の与える影響は世代や人物によって異なる

いかがだったでしょうか。

音楽は、軍歌の例のように世代・人物によって受け止め方が変わるのですね。

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最後までご覧いただきありがとうございます。