音楽療法のHow To

音楽療法のヨーロッパの歴史を理解する

音楽療法は欧米において、「古代エジプト時代から発し、現代に至る」という程歴史は長です。

わが国の歴史は記載された書物があまり見当らないので明らかではなく、第二次大戦後それも最近の30年間位に試みられはじめたという位に浅く短かい。

わが国の音楽療法の内容は、欧米由来の内容で、日本独自のものではなく、いわばスタート台に立った状況で、今後の発展に期する段階といえよう。

今回は、ヨーロッパの音楽療法の歴史について紹介しますので、ぜひ最後まで御覧ください。

音楽療法のヨーロッパの歴史を理解する

古代エジプト時代の音楽療法

古代エジプト人は、音、音楽は“神の声”として把え、“世界は音響的実体から造られる”と考えていたと伝えられています。

自然音、つまり、海鳴り、山鳴りなどの風雨、波音などがかなでる音を神の声として把え、また、人間の歌声も霊感のある人間が神の声がのり移ったと考えていた様です。

従って当時は音や人間がかなでる音楽によって神との交流がはかれると信じて、神への祈りの場で音楽を用いる様になっていった訳であります。

讃美歌も当時から作られていたという。 またこの時代では、病いに羅る事”は、神の怒りにふれた結果と信じられ、故に病を癒す手段としては、呪術を鎮める方法をとった訳で、この儀式が音楽療法のルーツともいえます。

師、マジナイ師たちが、病人の前で祈りを捧げ、音楽をかなでて神の怒りわが国の神代の時代に、天照大神が天の岩戸に閉じこもった際に、彼女の怒りを鎮めるために、岩戸の前で他の神々が音楽やおどりを捧げたという神話があるが、わが国でも、音楽が神との交流の手段と考えていたのかと思います。

ギリシャ時代~キリスト教時代の音楽療法

ギリシャ時代になると、病いを癒す手段としての音楽が、治療法として大きな意味をもっていたのは、医療技術が未発達な当時としては当然で、音楽療法は、「魂を媒介として、肉体に影響を与える一種の心理療法」として確立されたといいます。

でもよいかたはこんキリスト教時代に入ると、音楽が神と人間の交流の手段として、教会などの祈りの場で活用することが普及され、また、音楽が神の声ではなく人間の造り出すもの、(自然音は除き)と解釈され、人々の交流の場にも用いられる様になって来ました。

同時に音楽療法もさらに普及され、哲学者、プラトン、ソクラテス、そして数学者アリストテレスなどが音楽療法の先駆の役割を果したと伝えられています。

すなわち、アリストテレスは、「魂を恍惚状態にまで高揚する旋律を聴いた後に、あたかも医療的に下剤的処置を体験したかの様に正常に戻る」と、音楽療法の効果について語っているし、ソクラテスは、音楽を聴くと、「現存する感情の激発、そして過ぎ去った時の陶酔」という言葉を残しているとされ、現代的に考えれば、心の内面の葛藤を、内部発散、つまりventilation させる効果がある事を意味します。

だから音楽は人要するに、「音楽は人の心から生れる。 情動を語る。だから音楽は人の心を動かす力を持っている。 そして音楽は魂のいちばん秘められた心の奥底にまで浸潤する」という言葉がこの時代の音楽に対する解釈であった様です。

ルネッサンス以降の歴史

医学者ヴエサリウス(1514~64)が人体解剖書を出版してから、医学も急速に進歩したが、音楽療法もより具体的に研究され出した様であります。

すなわち、音色、リズム、振動、音程などが、人間に緊張、弛緩をもたらす事、演奏する楽器によって影響、効果が異なる事、などが分析されました。

例えば、弦楽器(リラ、サルテリオ)、管楽器(笛、フルート)の演奏は、人間にそれぞれ異った影響を与え、特にフルートは情動に衝撃的に働いて激情を発生させる一方で、フルートによって生み出される特有な音振動が身体にも影響を与えるとされました。

実際に、坐骨神経痛の患者の患部の上でフルートを演奏させて、直接患部に曲の振動を与え、疼痛を軽減させる治療が行われたという。 この様に医学的治療として本格的に用いられていった訳だが、治療適用に当っての音楽自体の分析として、「音色」では歌い手、演奏家による差異、また聴き手とのコミュニケーションの度合い、などが行われ、さらに「リズム」については、緊張、弛緩が、リズムの強弱と直接的に関連する点が分析しました。
そして選曲は聴き手の好みに応じる事も当時からすでに適用されていた様です。

18~19世紀に入ってこの時代になると医師たちによる音楽の治療への応用・研究も多くなっています。
すなわち、英国の医師、ロバート・バートンは自からのうつ気質(メランコリー)に対しての音楽効果の体験を書き、彼はルネッサンス時代の音楽療法の書物も出版しています。
また英人医師リチャード・ブラウニーは、歌う事が、心拍、血液循環、呼吸、消化に影響を与えたという研究成果を発表しました。
また、ぜん息発作のある患者に歌わせる治療を行うと、発作の回数が減じる効果をあげられると述べています。
この頃より音楽が人間に及ぼす生理学的反応に対する研究が開始されたといえます。
さらにエスキロール(精神科医)は、精神療養に音楽を聴かせると、病状が改善する例、増悪する例があると報告し、病状増悪時には、演奏をさせると調子外れになったとも述べ、結論として音楽は貴重な治療媒体であるが、その適用には充分な選択、配慮の重要性を強調しています。
この時代には米国の歴史が始まった訳だが、初代大統領、ジョージ・ワシントンは音楽療法に大変に興味を持っていたといわれ、軍隊の兵士たちに音楽療法を適用させ、演奏させる医師の指示によって音楽療法く歌わせる行われた聴かせる音楽療法の適用する前に、医師が患者の生活態度、性格、習慣、情感などについてあらかじめ精通していなければなりません。

その上で、最適な曲風、適用の時期の選定を行います。
適用に当って音量はひかえめに、徐々に音量を増します。
長時間は行ないません。
(患者のパーソナリティと病気の性質音楽家のパーソナリティと音楽的技能患者と治療関係適用にあたっての諸要因は:患者に適した音楽て研究をさせたといわれています。
この時代には医師が音楽療法を用いる様になったのだが、20世紀の現在の音楽療法の骨組となっています。

20世紀以降の音楽療法

今世紀に入り、欧米での音楽療法は徐々に普及していったが、治療の対象としては以下のとおりです。

  1. 重症心障児に対する治療、心身の機能回復訓練として、歌わせる、演奏させる。
  2. 口の唇型、歯列の矯正のために管楽器を演奏させる。
  3. 精神病者のレクリエーション、心理療法の補助的手段として用いる。
  4. うつ状態、不安状態などに精神の発揚、緊張緩和の目的で適用。
  5. 聴力障害児への音楽療法(歌わせる、演奏させる。)
  6. 老人性痴呆への音楽療法(歌わせる、演奏させる。)

この他、病院待合室、処置室のBGMなど患者の緊張緩和に用いる。などが具体的に行われる様になっています。
欧米では、20世紀後半から、ポドルスキー(1954)が音楽療法の教書を出版して以後、本格的な音楽療法を施行する専門家、すなわち音楽療法士の資格認定が行われる様になり、音楽療法士が誕生しました。
認定士は、英、米、そしてカナダに多く存在するが、米国が最も多いです。
これに伴い大学に4年間のカリキュラムが組まれ、音楽療法士養成の機構も確立されています。
1964年頃から国際音楽療法協会、(NAMT)が発足し、季刊の機関誌も発行されています。
このNAMTが設立されてから、音楽療法の臨床研究は系統的に発展し、発足当初は精神分析的見地からの音楽療法研究が盛んでありました。

行動科学的な見地からの研究が多くなり、現在に至っているが、この間に、生理学的見地からの研究は徐々にではあるが増し続けています。
生理学的な研究の増加は、医学そのものの進歩と比例するからです。
これらの傾向が、上述の機関誌への掲載論文の内容から判断出来る訳です。

歴史を知り、音楽療法をより理解する

いかがでしょうか。

歴史をとして、音楽療法の理解をしっかりとしてみてはいかがでしょうか。

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最後までご覧いただきありがとうございます。