音楽療法のHow To

保育園で音楽療法を取り入れるならまず最初にすべきこと

親にとっては自分の子どもには、心が豊かな人間になってもらいたいと考えます。

特に「情緒」の分野が発達させやすい時期は0歳から12歳までなので、なるべく早い段階から取り組みたいと思うでしょう。

そこで音楽療法の出番です。

音楽療法とは、音楽を通して、脳の働きや身体の働きを促進し、発達をサポートする治療法です。

この記事では小さい子ども達と接する機会が多い「保育園」の現場で音楽療法を取り入れる際に、まず最初にすべきことをご紹介していきます。

保育園で音楽療法を取り入れるならまず最初にすべきこと

最初にすべきこと①音楽療法について学ぶ

音楽療法を導入する際に、まず最初にすべきことの1つに音楽療法について学ぶことがあります。

ただ闇雲に、音楽を流したり、歌を歌わせたりすることは本当の音楽療法ではありません。

より良い発達支援を実現するためにも音楽療法への理解は必至なのです。

基本的な情報は以下の通りにまとめました。

  • 音楽を使って「生理的、心理的、社会的、認知的」な状態を作用させる力がある。
  • 対象年齢は幅広い。
  • 教育、医療、福祉」等で実践されている。
  • 健康維持、介護予防、学習支援」の目的で実践されている。
  • 能動的(歌う、演奏する)側面と受動的(聴く)側面の2つのアプローチがある。

最初にすべきこと②音楽療法の効果について学ぶ

音楽療法の基本的な情報を学んだら、次は予想される効果について学びます。

音楽療法は主に「脳、エンドルフィン、ゆらぎ」に効果をもたらします。

音楽は脳に好影響を与える

音楽療法は刺激を与えることで、脳を鍛えることができ、それが最高のパフォーマンスを発揮することに繋がります。

音楽を聴いている時、脳はこんな状態になっています。

  • 音が耳に入る⇒聴知覚、視知覚、視空間知覚で構成されている「知覚機能」が刺激される。これによって音を識別し、形や大きさを見極め、位置関係を把握する能力が強化される。
  • 思わず歌を口ずさむ⇒言葉の伝達を司る「言語機能」が刺激される。
  • 知らない歌を覚えようとする⇒情報を保管し、再生する「記憶機能」が刺激される。
  • 歌に合わせて手拍子やリズムを取る⇒身体の組織に呼びかけて、動かす「運動機能」が刺激される。
  • 「好ましい」という感情を実感する⇒情動反応を司る「扁桃体」に影響を与え、表情や感情の豊かさに繋がる。

音楽はエンドルフィンを分泌させる

エンドルフィンは「自然が生みだした鎮痛剤」と呼ばれる脳内物質です。

音楽を聴いている時、人間の脳には「エンドルフィン」が大量に分泌されます。

これは「モルヒネ」の6~7倍の鎮痛効果があるとされています。

数が多くなればなるほど、「ランナーズハイ」と呼ばれる状態になり、深い満足感を得ることができるのです。

音楽が持つ「ゆらぎ」は人間に「癒し」を与える

ゆらぎは音楽が人間に与える癒し効果の要なのです。

音楽とは、決まったパターンでメロディーを奏でているものだと思われています。

しかし、実際は違います。

メロディーの中には、一定のリズムに反した「不規則な部分」が存在しているのです。

音が大きくなったり小さくなったり、強くなったり弱くなったりする連続的な揺れの部分のことです。

それを「ゆらぎ」と言います。

そして、人間には「1/f」という自然と身についているリズムがあります。

音楽の持つゆらぎは1/fと共鳴することによって、人間に「美しい」と感じさせるようにできているのです。

そして、その感情は「安心」へと繋がっていきます。

最初にすべきこと③曲・楽器を用意する

音楽療法に使う楽器や曲の準備をしてください。

基本知識と効果を学んだあとは、それらを「遊び」として提供する機会を設けて欲しいのです。

何の前振りもなく、始められたのでは、子ども達は動揺します。

普段の日常生活の場において徐々に音楽を使った遊びを取り入れることで、親近感を持ってもらうのが目的です。「突発的」ではなく「継続的」に行うことで、興味・関心が薄らいでしまうのを防ぎます。特に0~3歳は興味の関心が変わりやすかったりするので、そこら辺を考慮した上で、慎重に検討し、導入していくことが大切なのです。

曲・楽器の選考基準

次に曲と楽器を選ぶ際の基準について紹介します。

曲は2種類用意します。まずは、子ども達にとって馴染みのある「アニメ、特撮、J-POP」を用意します。親しみがあるからこそ、抵抗感がなく、すんなりと受け入れられるのです。

そして、ゆくゆくは「クラシック音楽や洋楽」等を取り入れて、音楽の幅広い世界に触れさせるようにしてほしいのです。

楽器は保育園の関係者用と子ども用の2種類用意してください。子ども達も楽器に触れさせることでただ音楽を聴かせるだけよりも、より効果的な心身の発達を望むことができます。

子どもたちが受け入れやすくすることを意識

「音楽療法を取り入れるならまず最初にするべきこと」を「基本知識、効果、曲、楽器」の観点から紹介しました。

基本、音楽は「非言語表現」であるため、子ども達に受け入れられやすいのが特徴です。

心身の発達援助を無理のない形で実践できるのが音楽療法なのです。